サステナブルなイルミネーションで街を照らそう

再使用エネルギー

冬の街を彩るイルミネーションは心を躍らせてくれる一方で、多くの電力が必要です。こうした季節の楽しみにもサステナブルな視点を取り入れていくことで、持続可能な未来へ一歩近づけるのではないでしょうか。

2020年から、横浜都心臨海部で開催されている『ヨルノヨ』は、非日常のひとときを味わいながら未来につながる選択を体感できる、新しい形のイルミネーションイベントです。その取組についてご紹介します。

ヨルノヨのメイン会場『大さん橋』を背景に。

光の祭典が向き合う、エネルギー消費という課題

ヨルノヨは横浜のベイエリアを舞台に、街全体が音楽と光で連動する国内最大級のイルミネーションイベントです。その大きな特徴は、使用電力の工夫を行い、再生可能エネルギー実質100%の実現を目指しているところです。

こうした背景や賑わいづくりの意図について、ヨルノヨを担当している横浜市にぎわいスポーツ文化局の入江碧さんと、2023年からクリエイティブ・ディレクターを務めるPixelEngineの山﨑なしさんにお話を伺いました。

横浜市は、2024年に首都圏で初めて『日本新三大夜景都市』に認定されています。

初めに、ヨルノヨが開催された経緯について、入江さんにお聞きしました。

入江さん:もともとは『スマートイルミネーション横浜』というイベントが行われていました。阪神・淡路大震災の復興のシンボルとなった『神戸ルミナリエ』のように、東日本大震災の復興を後押しすると共に、環境・省エネ技術とアートが融合した「環境にやさしい夜景」の在り方を提案したものでした。

2020年に同じ光を使ったイベントとしてヨルノヨが開催されるようになってからも、環境への配慮は大事なテーマだといいます。

入江さん:ヨルノヨ2025では、イルミネーションに使用するエネルギーの75%以上を再生可能エネルギーでまかない、非化石証書の購入を併用することで、再生可能エネルギーの使用率実質100%を目指して開催しました。街に賑わいを生む光だからこそ、ただ消費するだけではなく、環境への配慮を前提に届けたい、そんな想いが根底にあります。

イベント実施支援などを行う、横浜市にぎわいスポーツ文化局の入江碧さん。

ヨルノヨ2025では「くじら」がイベントの象徴として用いられています。街中のビューポイントには、光るくじらのオブジェ『クジランプ』が設置されているほか、『クジランド』と名付けられた横浜港大さん橋国際客船ターミナルの屋上広場では、25mにもおよぶ巨大な光のくじらが泳ぐ国内最大級のプロジェクションマッピングも実施されました。

山﨑さん:くじらというモチーフの着想は、メインの会場である大さん橋屋上広場の愛称が「くじらのせなか」であることですが、何千キロも海を回遊するくじらの特性が、ヨルノヨの楽しみ方と重なるというのも大きな理由のひとつです。ヨルノヨはみなとみらいから新港エリア、山下公園まで広範囲で展開するイルミネーションイベントです。ひとつの会場を見て終わりではなく、途中で食事などを楽しみながら複数の会場を“回遊”し、夜の横浜の新たな魅力に出会ってほしいという想いを込めました。

ヨルノヨをはじめ、多くのデジタルアートや空間演出を手がける山﨑なしさん。

くじらの雄大な姿を楽しめるクジランドの規模は圧巻です。

再生可能エネルギー実質100%を目指す、ヨルノヨの挑戦

ヨルノヨの挑戦をクリエイティブの最前線で支える山﨑さんは、このイベントが持つ独自の価値について次のように語ります。

山﨑さん:国内で、ここまでの理念をもって取組んでいるイルミネーションイベントは他にないのではないでしょうか。コスト面でも運用面でも、大規模なイベントで行うにはチーム全体で覚悟も知識も必要です。ヨルノヨの環境配慮の取組は、他に先んじたものだと思います。

2025年のテーマは「花」。花開く光のオブジェ『スターフラワー』が山下公園を彩りました。

街全体を使った、5分間の音楽の光のショー『ハイライト・オブ・ヨコハマ』では、スマートフォンが街と連動して光って音が鳴る演出を楽しめます。

再生ガラス素材のシーグラスを使うワークショップ、『きらめくガラススノードーム作り体験』も大人気でした。

出来ることを持ち寄って、街と心に明かりを灯す

ヨルノヨには、イベントの理念に共感し、ともに持続可能性を追求する企業が『脱炭素パートナー』として参加しています。法人向け燃料配送サービスを手がける三和エナジー株式会社もそのひとつです。同社は、本来なら廃棄される廃食用油を再生したバイオディーゼル燃料を供給し、イベントの脱炭素化を支えています。地元である横浜を拠点に、どのように地球にやさしいエネルギーの未来を描いているのか、環境事業部の仙場学さんに伺いました。

三和エナジー株式会社 環境事業部の仙場学さん。

★廃食用油の燃料はこのSTYLEでもご紹介
こどもたちを主役に “未来の授業”を作ろう

三和エナジーがヨルノヨに協賛したのは2024年からで、今回で2回目となります。

仙場さん:当社は横浜市が創業の地であり、脱炭素社会の実現・推進に共感し、協賛させていただくことになりました。今年は昨年よりもバイオディーゼル燃料の供給量を増やし、CO₂の削減量をさらに高めています。

バイオディーゼル燃料とは、一般的な内燃機関で使用される軽油や重油などと性質の異なる非化石燃料のことです。廃食用油を化学処理することでディーゼルエンジンの燃料に転換している、と仙場さんは続けます。

仙場さん:植物は生育時に光合成を行い、大気中のCO₂を吸収しています。そのため、燃焼時にCO₂を排出しても大気中のCO₂の総量は実質ゼロということになります。バイオディーゼル燃料は植物性の廃食用油が原料のため、新たにCO₂を増やすことなく脱炭素に貢献することができるんです。

バイオディーゼル燃料は建設重機や陸送トラック、船舶向けの燃料としても多く活用されている、と仙場さん。

そして、ヨルノヨで使っているバイオディーゼル燃料は、環境負荷の低減に貢献する特別なものだといいます。

仙場さん:じつは、バイオディーゼル燃料にはいくつかの種類があります。建設重機や車両などに主に使われるのは、使い勝手を良くするためにバイオ5%を軽油に混ぜた『B5軽油』ですが、ヨルノヨに納入したのはバイオ100%の『B100』という燃料です。

B100のバイオディーゼル燃料には専用の発電機が必要ですが、CO₂削減には高い効果を発揮します。

イベントにおける協賛企業のサステナブルな関わりといえば、例えばマラソン大会の運営車両にEVや水素自動車を提供する、といった“間接的な支援”を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし、三和エナジーとヨルノヨの関わりはより深く、イルミネーションの電力そのものをバイオディーゼル燃料で支えるという、直接的な支援のスタイルをとっています。このような関わり方について、現場で感じる手応えを伺いました。

仙場さん:通常、燃料のようなエネルギーは裏方の存在であり、なかなか目にしないものですが、それがはっきりと視覚化されるのがイルミネーションだと思っています。去年も今年もヨルノヨを見させていただきましたが、大きなやりがいを感じると共に胸に迫るものがありました。

「夜の横浜」を意味するヨルノヨの景色は、特別な高揚感をもたらします。

JR桜木町駅前の特大サイン看板には、ソーラーパネルによる太陽光発電とポータブル電源を活用しています。

今回のようなイベントでのバイオディーゼル燃料の活用について、仙場さんは次のように語ります。

仙場さん:エンターテインメントも燃料も、これからの社会になくなることはありません。だからこそイルミネーションイベントなどで再生可能エネルギーを活用する動きは、今後ますます加速していくはずです。その中で、バイオディーゼル燃料は脱炭素社会に向けた大きな貢献ができると思っています。

美しさと地球へのやさしさが共鳴する未来へ

ヨルノヨのような大規模なイルミネーションイベントにおいて、高い実効性を持ってエネルギー転換を実現している例はまだ多くありません。

この挑戦を支えているのは、イベントに関わる一人ひとりの「自分たちの手で未来を変える」という意志です。最後に山﨑さんは、持続可能なイベントのあり方について、ご自身の考えを話してくれました。

山﨑さん:こうしたイベントで持続可能性に取組むうえで重要なのは、関わるもの一人ひとりが主体的に問題意識を持って臨むことだと考えています。社会的要請に都度対応するだけでは、それこそ「持続」するのが難しい。ヨルノヨでは、横浜市も私たちも、自分たちで考え、パートナーを探し、自らの問題として環境への配慮を行なっているんです。今後もその姿勢を大切にしていきたいですね。

技術とアイデアによって、イルミネーションイベントの未来を提案したヨルノヨ。それは「美しい光を楽しむ」ことと「環境への配慮」が、決して相反するものではないことを教えてくれます。

【情報】

ヨルノヨ
主催:クリエイティブ・ライト・ヨコハマ実行委員会
共催:横浜市
https://yorunoyo.yokohama/

PixelEngine Ltd.
https://www.p-e.jp/

三和エナジー株式会社
https://sanwa-energy.com/

取材させていただいたのは...

三和エナジー株式会社 仙場学さん

冬の街を彩るイルミネーションは心を躍らせてくれる一方で、多くの電力が必要です。こうした季節の楽しみにもサステナブルな視点を取り入れていくことで、持続可能な未来へ一歩近づけるのではないでしょうか。 2020年から、横浜都心臨海部で開催されている『ヨルノヨ』は、非日常のひとときを味わいながら未来につながる選択を体感できる、新しい形のイルミネーションイベントです。その取組についてご紹介します。

STYLE実践のヒント

「自治体によっては、バイオディーゼル燃料の原料になる廃食用油を各家庭から回収しています。揚げ物などで使った油が燃料になる、リサイクルできるということを皆さんに知っていただき、回収に協力いただいて、バイオディーゼル燃料の取組に接していく機会を作っていけたら理想的ではないかと考えています」(仙場学さん)

STYLE100編集部

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