団地を未来に循環させよう

循環型経済 生物多様性

横浜市内には、市営・県営住宅を中心に100以上の団地が点在しており、総戸数はおよそ11万戸にのぼるといわれています。これらの団地の多くは高度経済成長期に整備され、かつては多くの子育て世代の暮らしを支えてきました。現在では、こうした団地を今後も長く活用していこうとする取り組みが各地で広がっています。今回は、そんな中で、神奈川県住宅供給公社が取り組む団地再生の最前線を訪ねました。

時代に合わせ「団地」の価値を再構築する

JR横浜線「鴨居駅」から徒歩15分ほどの位置にある竹山団地。この時代に建築された大規模団地全般にいえますが、棟と棟の間が広く、ゆったりとした空間になっています。

日本が戦後復興を遂げ、めざましい経済発展を遂げた1950年代半ばから1970年代にかけての高度経済成長期。重化学工業の発展とともに都市部へ人口が集中する中で、団地は急増する都市人口による住宅不足の解消、近代的な住環境の整備といった面から、日本の産業発展を下支えする重要な役割を担っていたのです。
一方で、多くの入居者が同じ時期に暮らしはじめたことから、現在は住民の高齢化が進んでいることが大きな課題となっています。

効率性と耐久性に優れた団地のポテンシャルを次の時代へと活かすため、近年ではリノベーションなどのハード面だけではなく、コミュニティ支援や地域福祉といった“ソフト”の力で課題に向き合う動きが活発化しています。

団地のセンター地区に広がる人工池は、かつてこの地が谷戸や里山であった名残を受け継ぎ、雨水調整の役割も担っています。池にせり出すように集合住宅やショッピングセンターが配置され、その風景はいまなおモダンな印象。全国的にも珍しいこの設計は、竹山団地を象徴する景観となっています。

緑区の竹山団地は、高度経済成長期の真っただ中の1970年代に開発した大規模団地のひとつです。開発面積は約45ヘクタールにおよび、なかでもショッピングセンターなどが集まるセンター地区に配された池は、象徴的な存在となっています。
じつはこの場所には、造成以前からトンボが飛び交う自然の池があり、その環境をできる限り引き継ぐという考えから人工池として整備されたものだといいます。急速な経済成長の裏側で、自然環境の悪化や公害が社会問題となっていた時代に、こうした自然への配慮を、当時から計画に取り入れていたのです。

ゆったりとした共有部は日当たりがよく、空が広く、緑も美しく整えられており、少し足を踏み入れるだけでも、恵まれた住環境であることが伝わってきます。しかし、神奈川県住宅供給公社(以下:公社) 賃貸事業部の水上 弘二さんは、こうした魅力を備えた竹山団地であっても、団地特有の課題を抱えていると語ります。

公社の職員として、竹山団地をはじめ県内各地の団地再生プロジェクトに携わる水上さん。「竹山団地では、学生と住民が日常的に言葉を交わすようになり、これまで表に出てこなかった住民の声が自然と拾えるようになったことも大きな変化だと感じています」

水上さん:ここには分譲・賃貸を合わせて約2,500戸の住宅があり、現在も6,000人以上が暮らしています。空室が増えて廃墟化するといった深刻な状況ではありませんが、建物の老朽化に加え、65歳以上の高齢化率が約47%に達するなど、県内の他の団地と同じように高齢化が進んでいます。また、自治会活動をはじめとするコミュニティは比較的健全に機能しているものの、世代交代がスムーズに進んでいない点も課題です。完成したばかりの“憧れ”の団地に高倍率の抽選を勝ち抜いて移り住み、何もないところから自分たちで行事やコミュニティを築いてきた第一世代と、はじめから環境が整った団地で暮らす第二世代、第三世代以降の住人とでは、地域への関わり方や意識にどうしても温度差が生まれてしまうのです。

学生が暮らすことで団地に活力を!

2020年、公社は神奈川大学と連携・協力に関する協定を締結し、「竹山団地プロジェクト」をスタートさせます。同大学のサッカー部員が竹山団地の公社賃貸住宅で暮らしながら、地域の社会課題解決を目指すという、きわめてユニークな取り組みです。この異色のコラボレーションは、神奈川大学サッカー部の監督、大森 酉三郎(おおもり ゆうざぶろう)さんの育成理念から始まったものです。

海上自衛隊の社会人チームで選手として活躍した後、指導者としてプロサッカークラブのユースチームや通信制高校のサッカー部で監督を務めてきた大森さん。2004年に神奈川大学サッカー部の監督に就任し、一度離れ、2019年から復帰。プロジェクトの開始直後は学生と同じように、竹山団地の賃貸住宅で生活していた時期もあったといいます。

大森監督:サッカーの試合時間は計90分ですが、1人の選手がボールに触れている平均時間は約1分半といわれています。残りの時間は、味方をフォローしたり、パスを受けるために走ったり、相手の攻撃を防ぐために備えたりしています。サッカーの試合では個人の派手なプレーやテクニックが注目されがちですが、じつは周囲を見て動いたり、声を掛け合うといった「人とのつながり」がとても重要なんですね。ただ、そうしたことは技術練習だけでは身につかないんです。そこで人としての成長や社会性を身につけさせるのに、団地という環境に大きな可能性があると感じたんです。
大森監督は、以前から親交があった水上さんと共通の知人で、大磯などでまちづくりに関わる原大佑 氏から「団地は未来社会である」という言葉を聞き、感銘を受けたといいます。現在の団地は、少子高齢化や人口減少、インフラの老朽化といった日本が直面している様々な社会課題の最前線にあり、それらを乗り越えるためのモデルケースでもあるという意味の言葉です。そんな未来社会に身を置き、高齢者や子どもたちと日常的に関わることで、学生たちが本来もっている「助け合う気持ち」や「関わり続ける力」が、自然と育まれていくのではないか。そんな大森監督の想いに公社が共感し、竹山団地プロジェクトは動き出しました。

学生たちが暮らすのは、いかにも団地らしいコンパクトな2DKの住戸です。ミニマルライフが見直されるいまの視点で見ると、無駄のない間取りはむしろ効率的で、魅力的に映ります。

竹山団地で暮らす4年生の井原 心人(いはら しんじん)さん。「実家を出て暮らすこと自体が初めてで、当初は団地での生活に不安もありましたが、自由と規律のバランスがちょうど良いと感じています。自分たちで育てた野菜を使って自炊することも多く、生活力が身に付いたと思います」

2026年1月現在、サッカー部員のほぼ全員にあたる63人が竹山団地で暮らしています。エレベーターがないため空き部屋が多い上層階(4階・5階)の賃貸住戸を活用し、1部屋あたり2〜3人で共同生活をしつつ、地域を活性化させるさまざまな取り組みに関わっています。

また、2025年には竹山団地中央商店街の空き店舗を改修したコミュニティスペース「未来研究所 竹山セントラル」が誕生。部員たちが住民向けに健康体操教室やヨガなどのプログラムを実施し、世代を超えた交流が生まれています。さらに、これらの施設の設計やデザインには同大学の建築学部の教員や学生も関わっており、サッカー部にとどまらず、研究活動の場としても、その取り組みが広がっているそうです。

商店街の空き店舗を改修して誕生した施設「未来研究所 竹山セントラル」。高齢化が進む団地では、住民の健康維持や、単身世帯の増加に伴う孤立の防止が大きな課題となっています。同施設では「運動」と「交流」をテーマに、住民を対象とした多様なプログラムが展開されています。

取材当日に行われていた健康体操教室は、ほぼ満員となる盛況ぶりでした。常連の参加者も多く、会場では参加者同士が挨拶や会話を交わす姿が随所に見られました。

1970年代半ばからこの団地で暮らしているという参加者の方。教室の後に参加者同士でランチを楽しむのが恒例になっているそうで、とてもお元気な様子。年齢を伺うと、なんと87歳とのことでした。

大森監督:サッカー部の食堂としても使いながら、地域の方が気軽に食事を楽しめる場として開放している「食文化研究所 竹山キッチン」の運営をはじめ、高齢者向けのスマートフォン教室、近隣の小学校に通う子どもたちへの学習支援、さらには近くの休耕地を活用した農薬を使わない野菜づくりなどにも取り組んでいます。最初の枠組みは、公社や自治会の方々と相談しながら大人のスタッフが整えましたが、実際にどのように関わり、運営していくかは部員たちに委ねています。

もともと鮮魚店だった空き店舗を改修した「食文化研究所 竹山キッチン」。サッカー部の食堂と地域の方が気軽に利用できるカフェとして運営されています。地域の子どもたちが立ち寄ってくれるよう駄菓子の販売も行われ、下校後の児童がここで宿題をやっている姿も日常的な光景となっています。

スパイスコーディネーター協会認定のスパイスコーディネーターマスターであるシェフが、本格的なスパイス料理を手頃な価格で提供しています。料理には学生が手間をかけて栽培した野菜が使われており、その味わいは格別。外から足を運んででも味わう価値があると感じました。

学生たちが調理補助や配膳などを行うことで、訪れた住民と自然に言葉を交わします。日々の暮らしが世代を超えた交流につながっているのです。「自宅ではなかなか作れない本格的なスパイス料理が味わえて、栄養バランスも良いので体調が良くなりました」と、取材で話してくれた住民の方の評判も上々でした。

竹山キッチンでサポート業務を行っている3年生の海貝俊輔さん。「団地での暮らしや地域活動を通じて、周囲への気配りやコミュニケーション力が養われたと感じています。サッカーでは状況に応じて瞬時に声をかける判断力が求められますが、ここでの経験がそうした力の向上につながっていると思います」

こうした神奈川大学との連携によって生まれた団地の変化について、竹山団地連合自治会の事務局長・高橋明美さんは、次のように話してくれました。

高橋さん:スタジオやジムができたことで、住民同士が外に出て顔を合わせ、会話を交わす機会が増えました。それまで休日の商店街は本当に人通りが少なかったのですが、団地全体に活気が戻り、明るくなったように感じています。

竹山団地の各自治会をまとめる竹山連合自治会で事務局長を務める高橋明美さん。学生たちとはLINEグループを通じて密に連携しているといいます。「四季の移ろいを感じられる豊かな自然があり、生活インフラも整っている。子どもたちの遊び場も多く、誰でも安心して暮らせる環境がこの団地の魅力だと思います」

竹山団地では毎年5月に鯉のぼりを掲げることになっていますが、これまでその役割を担ってきた住民の高齢化が進み、現在はサッカー部員がその役割を引き継いでいるそうです。ただし、本分はあくまで学業とサッカー。すべてを彼らに任せきりにするのではなく、できることはサッカー部以外の住民で行うよう心がけていると高橋さん。

団地の商店街の中で、ひときわ存在感を放っているのが最新鋭のトレーニング施設「空気研究所 竹山エアラボ」です。ここもまた、商店街の空き店舗を改修して誕生しました。施設内の酸素濃度を18.2%〜13%(標高約1,200m〜3,900m相当)までコントロールでき、低酸素環境下でのトレーニングが可能です。学生アスリートの競技力向上だけではなく、高齢者や運動習慣のない方の健康づくりにも活用されているそうです。

大森監督:野菜づくりに取り組む部員たちには、「畑リーダー」という役割を設けているんです。畑の地主さんとの調整を行い、種苗店で苗を手配し、下級生に声をかけて植え付けを進める。多くの人と意思疎通を図りながら物事を動かしていく点は、試合中のパス回しとよく似ています。サッカーは、ミスをすることが前提のスポーツです。だからこそ、うまくいかない場面で「相手の立場を思いやる力」があると、チームの立て直しも早くなります。竹山団地での暮らしを通じて、部も神奈川県リーグから関東2部リーグへ昇格するなど、成果が現れています。

神大サッカー部では、農家の高齢化という地域課題の解決に向け、近隣の休耕地を借り受け、学生たちが野菜を栽培する取り組みも行っています。収穫した野菜は団地内で販売するほか、地域の飲食店でも活用されています。

書店やコワーキングが交流を生み出す

横浜市内には、竹山団地のほかにも、独自の取り組みによって再生や活性化を進めている団地があります。そのひとつが、旭区にある横浜若葉台団地です。総戸数約6,300戸に1万2000人を超える人々が暮らす、市内でも有数の規模を誇る団地です。

1979年に入居が始まった横浜若葉台団地は、公社が開発した団地の中で最大規模を誇ります。中央部には大規模な商店街をはじめ、多様な公共施設が集積し、ひとつの街として自立した機能を備えています。また、歩車分離が徹底されている点も大きな特徴で、安全かつ快適に移動できる住環境が整えられています。

水上さん:横浜若葉台団地は、高齢化率が50%を超えており、竹山団地よりもさらに高齢化が進んでいます。しかし、住民コミュニティが非常にしっかりしており、要介護認定率が全国平均を大きく下回っているなど、公社が団地再生に本格的に関わる以前から、住民主導で様々な活動が行われていました。

約90ヘクタールという広大な土地をひとつの団地として開発したことは、横浜若葉台団地ならではの特徴であると同時に、現在の大きな課題にもなっているといいます。

水上さん:単棟のマンションであれば、住民の合意形成によって建て替えなどの選択肢もありますが、横浜若葉台団地の場合、建築上の規制が団地全体に総合的に適用されており、一部だけを建て替えることは現実的には非常に難しく、「長く使い続ける」ことを前提にせざるを得ないのです。

建物は修繕によって寿命を延ばすことができますが、そこに暮らす人は年月とともに入れ替わっていきます。したがって、時代が変わっても「ここに住みたい」と思ってもらえるような、ソフト面での価値創出が欠かせないといいます。

「わかばダイバーシティスペース Wakka」は、地域の誰もが自由に利用できる「多様性活動スペース」のほか、「コワーキングスペース」や「第2作業所わっか」「BOOK STAND 若葉台」を併設し、多機能な交流の場として運営されています。

その象徴的な取り組みが、2022年8月にショッピングタウンわかば(商店街)の空き店舗を活用してオープンした「わかばダイバーシティスペース Wakka(わっか)」(以下:Wakka)です。小中高生以下は無料で利用できる学習スペースをはじめ、社会人向けのコワーキングスペースや、コーヒーや軽食を楽しめるカフェスペースを備えた複合施設として、高齢者から子どもまで、世代を超えた交流が自然に生まれる場となっています。また休日にはフリーマーケットやコンサートなどのイベントスペースとしても活用されています。

運営する認定NPO法人 若葉台の理事長・中野和巳さんは、Wakka誕生2の経緯を次のように振り返ります。

中野さんはもともと県立高校の国語教師を務め、2025年には認定NPO法人 若葉台の理事長に就任しました。「横浜若葉台団地は、歩車分離や電話線の地中化をはじめ、地形や樹木など本来の自然環境をできる限り生かすなど、当時としてはとても先進的な理念で開発された団地だと思います。現在は、このスペースを活用して、障がいのある方のための音楽会を開催できないかと計画を進めています」

中野さん:もともとここには大きな書店が入っていましたが、2019年に撤退し、その後およそ3年間にわたって空き店舗となっていました。商店街のなかでもひときわ目立つ場所だったため、周辺全体がどこか寂しい印象になってしまったのです。そこで、連合自治会と施設を管理する一般財団法人若葉台まちづくりセンター、そして私たちが協力し、この場所を新たな交流拠点にしようという構想が持ち上がりました。

横浜若葉台団地の住民には、音楽や絵画などアート分野で活躍している方が多く、コンサートや展覧会を開くためにこのスペースを利用するケースも少なくないそうです。

取材当日も、住民同士がコーヒーを片手に会話を楽しむ姿が見られ、この場所が地域住民にとって交流の拠点として定着している様子がうかがえました。

まだまだ発展途上としながらも手応えを感じていると中野さんは続けます。

中野さん:気軽に立ち寄ってくつろげる場所として認知されてきましたね。また、若葉台には特別支援学校があることから、障がいのある方の働く場として作業所も併設しており、利用者との自然な交流も生まれています。授業後に子どもが安心して過ごせる場所ができた、という保護者からの嬉しい声も多く届いています。

近年では、早朝から親が出勤する家庭を想定し、学校の始業前に利用できる居場所づくりや朝の学習支援など、より暮らしに寄り添ったサービスも始まっている

大手チェーン書店の撤退後、空き店舗となっていた場所にオープンした書店&ドリンクスタンド「BOOK STAND 若葉台」。

一般書に加え、いわゆる独立系書店らしい店主の感性が光る選書も並び、多彩な本との出会いが楽しめます。

Wakkaには「BOOKSTAND 若葉台」が隣接されています。住民アンケートでも「書店がほしい」という声が上位に挙がるなど要望が強く、Wakkaの構想当初から一角に書店を設ける方針が定まっていたといいます。そこで白羽の矢が立ったのが、若葉台在住で移動書店「BOOK TRUCK」を運営していた三田修平さんでした。かつて団地から姿を消した書店を復活させた背景には、次のような想いがあったといいます。

都内の大型書店の店長などを経て、2012年に移動式書店「BOOK TRUCK」を立ち上げ、イベント会場などで本との出会いを届けてきた三田さん。現在は「BOOKSTAND 若葉台」と移動書店を並行して運営しています。近年は、小説を音楽にするユニット“YOASOBI”とコラボレーションした「旅する本屋さん YOASOBI号」として全国ツアーにも同行するなど、その活動の幅をさらに広げています。

三田さん:「近年、書店は限られた地域でしか成立しない商売になりつつあります。団地のように利用者が限定される場所では、正直かなり厳しいだろうとも思いました。ただし、「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS本店」や「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(現:六本木 蔦屋書店)」で、都市部における新しい書店の形を模索する現場に携わってきた経験があったので、次は住宅街や郊外での持続可能な書店のあり方を試してみたいという気持ちもあったんです。ここでモデルをつくることができれば、すでに書店がなくなってしまった地域や、これから失われていく地域にも応用でき、社会的にも意義があるかもしれないと。

団地という環境で書店を持続させるための工夫について、三田さんはこう続けます。

三田:ここで暮らす高齢者の方のQOL(Quality of Life)を高める書店でありたいと考え、介護に関する本やエンディングノートなどを充実させています。横浜若葉台団地には元気な高齢者が多く、趣味や脳トレの本もよく手に取られますし、老後になってから語学を学び直す方も多いため、語学テキストも比較的厚めに揃えています。ただ、新刊だけで書店の経営を成り立たせるのは難しいため、古本に加えて、コーヒーやクラフトビールなどのドリンクを提供したり、雑貨も販売しています。都市部とは違い、住民同士の結びつきが強い地域なので、書店を通じてコミュニティを広げたり生み出したりする場にできればと、読書会などのイベントも定期的に開催していますね。

団地中央には商店街「ショッピングタウンわかば」が広がり、その周辺にはグラデーションカラーの外壁が印象的な高層棟が建ち並んでいます。

団地ならではの価値を未来の資産に

横浜若葉台団地では「100年マンション憲章」という考え方を掲げています。これは、長期修繕計画に基づいてマンションを50〜60年、さらには75年以上、将来的には100年にわたって使い続けられる状態を維持しながら、時代ごとのニーズに応じて改善や改良を重ねていくというものです。そうすることで、新しく建設されるマンションとの差をできるだけ小さくし、地域の活力を保っていくことが目的です。このように既存の建物を大切に使い続けることで、どのような未来が開けてくるのでしょうか。

水上さん:日本では人口が減り続けているにもかかわらず、今も新築マンションが次々と建設されています。そうした新しいマンションにはない独自の魅力を感じてもらえなければ、団地は徐々に入居者が減り、景観や治安が悪化して廃墟化していくことだってあります。そうならないよう今はワーケーションや多拠点居住など、住まいの使い方そのものを多様化していくことが必要だと思っています。従来のスクラップ&ビルドではなく、ヨーロッパのように古い建物を丁寧にメンテナンスし、100年、200年と使い続けていく文化へと転換していくことが求められているのではないでしょうか。団地には、単棟のマンションにはない広大なインフラや、恵まれた景観という大きな資産があります。それらを活かし、次の世代へ循環させていきたいですね。

STYLE実践のヒント

「団地には、ヨーロッパの街並みのように、古い建築を丁寧に手入れしながら長く使い続けていくという発想で活用できる可能性があります。ゆとりある敷地や恵まれた景観などの特徴を活かし、時間を重ねるほど価値を深めていく住環境へと育てていくこともできるはずです」(水上 弘二さん)

STYLE100編集部

横浜って面白い!地球にやさしいスタイルをInstagramで続々公開中 外部サイトへリンクします

横浜市で活動されているあなたのSTYLEを募集しています

STYLE100トップ