“地球 1 個分の暮らし”を 体感してみよう!
再使用エネルギー 循環型経済 生物多様性
2024年12月より始動した「地球1個分で暮らそう STYLE100」プロジェクト(以下:
STYLE100)は、横浜市内の市民や企業、団体の皆様が取り組むサステナブルな活動を『STYLE』として紹介し、それを広く共有することで、地球にやさしい未来のライフスタイルを共に描くプロジェクトです。このたび、そんなSTYLE100の理念を誰でも体感できる企画展が横浜市役所で開催されました。
横浜市役所内にこれまでの「STYLE」が大集合
2025年10月27日(月)~11月30日(日)、横浜市役所2階のプレゼンテーションスペースおよび展示スペースで、これまで取り上げてきた34のSTYLE(2025年10月27日時点)を一堂に集めた企画展が開催されました。
横浜市で進められている「STYLE」を、多くの人々に「自分ごと」として捉えてもらい、やがて社会全体が地球にやさしい暮らしへとシフトしていく――。
STYLE100は、そんな理念を実現することを目指しています。そのためには、一方的な情報発信だけでなく、人と人が直接つながり、共通の体験を通じて理解を深める機会が欠かせません。
今回の企画展は、その理念を市民の皆様に広く届けるため、市庁舎という多くの人が訪れる場を舞台に具現化したものです。
はじめにご紹介したいのが、市役所2階プレゼンテーションスペースでの展示「地球1個分の暮らしのお部屋」です。こちらは、サステナブルなライフスタイルの実現を提唱するIKEA横浜の特別協力によって実現したもの。各所には、STYLEにちなんだ15以上のアイテムも展示しました。
開催初日には、展示に協力してくれた各STYLEの実践者も駆け付けてくれました。そのうちの一人、IKEA横浜マーケットマネジャーの菅野秀紀さんは、今回の展示について次のように語ってくれました。

IKEA横浜マーケットマネジャーの菅野秀紀さん
菅野さん:イケアでは、3つの柱で構成されているサスティナビリティ戦略を掲げています。その柱の1つが「健康的でサステナブルな暮らし」への取り組みですが、こうした展示は、それとぴったり合致する企画でもあると思い、協力をさせていただきました。

カバーを取り外して洗えるイケアのソファ。もし汚れてもカバーを洗濯または交換するだけで、廃棄することなく長く使い続けることができる。STYLE#019「北欧から地球にやさしい暮らしを学ぼう(前編)」で紹介しています。

ハンガーに掛けられているのは、シェアフラワーで作った染料で染めたTシャツ。こちらはSTYLE#020「シェアフラワーで花と幸せを循環させよう」で紹介されています。エコバッグは不要になったエコバッグをお客さんから回収して、必要とするお客さんに貸し出すパタゴニア横浜・関内「エコバッグシェアリング」の取組。詳細はSTYLE#029「ごみを出さないお店をつくろう」でご覧ください。
STYLEゆかりのアイテムだけではなく、レイアウトに用いられたイケア製品も、家具をはじめインテリア雑貨、ぬいぐるみに至るまですべてサスティナビリティを意識したもの。また、各アイテムに取り付けられたタグもクラフトビール製造時に排出されるモルト粕を使った再生紙で制作されています。

各アイテムに取り付けられたクラフトビールペーパーを用いた説明タグ。この取組もSTYLE#008「クラフトビールでフードループを生み出そう」で紹介されています。
こちらのルームセットの全体デザインを担当したのはIKEA横浜コミュニケーション&インテリアデザインのテドルストホルスト 麻里絵さんです。

IKEA横浜コミュニケーション&インテリアデザイン テドルストホルスト 麻里絵さん
麻里絵さん:小学校と幼稚園に通う子どもがいる4人家族の暮らしを想定してデザインしました。思わず立ち寄りたくなるような温かみのある空間を目指し、イケアらしさと皆さんのSTYLEをどう融合させるかを意識しました。普段、イケアストアのルームセットでは取り入れることのない、シェアフラワーやリユースファブリックなども自然に溶け込んだ空間にできたと思います。
一般的に「地球にやさしい暮らし」というと、我慢や制約を伴うイメージを持つ方も少なくありません。しかし、沢山のアイデアが詰まったこのルームセットからは、楽しさや豊かさを犠牲にすることなく、サステナブルな暮らしが可能であることが伝わってきます。

STYLE#024「アートの力で社会課題を学ぼう」を実践するEduArt代表、望月実音子さん
望月さん:子どもたちが一生懸命に手がけた作品を、多くの方に見てもらえる場で展示していただけて嬉しいです。家庭をはじめ、自分の身近なところからフードロスを減らすために何ができるかを考えて作ったアートなので、こうしてインテリアとして展示されるのはとても自然な形だと感じます。

横浜市立みなとみらい本町小学校 3年 R.I 作

STYLE#025「リユース手芸を楽しもう」を実践する森ノオト ファクトリー事業部マネージャー、齋藤由美子さん。
齋藤さん:私たちが主催する『めぐる布市』は布を素材のまま販売するリユースマーケットなので、作品に仕上げたものがお部屋にレイアウトされると、布の活用方法がイメージしやすくなっていいですね。展示のカーテンは、いわゆるカーテン分の尺がないハギレを、韓国の伝統工芸、ポジャギ風にパッチワークしたものです。こうして暮らしの空間にレイアウトされると改めて素敵だと感じました。これを見て、お家で眠っているハギレを思い出して活用してくれる人が増えたら嬉しいです。

ポジャギ風の白いカーテンは、微妙な色味や素材感の異なる布をパッチワークして仕上げてあるため、表情が豊かで、同じものはふたつと作れない一点物であることが特徴です。

STYLE#032「スポーツにもリサイクルの文化をつくろう」の実践者、T-YASUDA企画リアルトレーナーズ代表、保田貴史さん。
保田さん:傷んだ野球ボールをリサイクルする取り組み自体は、私が引き継ぐ15年ほど前から続いている活動ですが、野球に関わりのない方には、ほとんど知られていないと思います。もっと多くの方に知ってもらいたいという思いで活動を続けてきたので、こうして他のSTYLEと並んで、一般の方の目に触れる形で展示していただけるのは、とても光栄ですね。

傷んだ硬式野球ボールと再生するために革をはがしたボール、再生されたリサイクルボールをディスプレイケースに入れて部屋のインテリアとして展示。当日までどのように展示されるか知らなかった保田さんはその意外性に驚いていました。
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各アイテムの案内図。一部のアイテムはあえて少し見つけにくい場所に配置してあり、訪れた方が宝探し的に楽しめるような趣向になっています。

引き出しを開けると現れる横浜金澤黒船石鹸。これは瀬ケ崎小学校の児童の発案により、給食で廃棄されるみかんの皮をアップサイクルして製造された商品です。詳しくはSTYLE#016「地域に自然のあそび場をつくろう」をご覧ください。
実践者の「顔」が見えると意識が変わる

これまでSTYLE100プロジェクトでフィーチャーしたSTYLE実践者たちが等身大のパネルとなってお出迎え。実践者の「顔」が見えると、俄然、自分ごとに感じられるような気がしませんか?
市役所2階の展示スペースでは「地球 1 個分の暮らしをつくる人たち・パネル展」と題し、これまでSTYLE100で発信した34のSTYLEや、それぞれのSTYLEにかける「想い」や「名言」を壁面いっぱいにパネルで紹介しています。
また、実践している方の「顔」を知ってもらえるよう、等身大パネルも展示。いまSTYLEに取り組んでいる”地球1個分の暮らしをつくる人たち”が、抽象的な「どこかの誰か」ではなく、同じ市内で活動する市民であることを認識することで、STYLEはもっと身近なものに感じられると思います。
最後に壁面に展示された前出のIKEA横浜マーケットマネジャー、菅野さんの言葉を引用します。
「まずは『知識』がはじまりで、
つぎに『意識』するようになり、
やがて『見識』になり、ひろがっていく」
この言葉になぞらえるなら、本企画展は“知識”から“意識”へとつなぐ入口となるもの。会場で未来のライフスタイルに触れた来場者の意識が変化し、やがて見識となって広がっていくことを期待しています。
そして、STYLE100プロジェクトの最終目標は2027年3月の「GREEN×EXPO 2027」開催までに100のSTYLEを発信すること。今後もさまざまなアプローチで、地球にやさしい暮らしを実践する方をご紹介します。ご期待ください。